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いのちの教育

在宅での看取り体験から学ぶ

私自身が最も大切にしているテーマは未来を担う子供たちへの『いのちの教育』を行っていくことです。現代は在宅看取りや自然死に関わる機会を奪われたために、死ぬということがうまく理解できない人が増えています。さらには生死にかかわる医療を扱う医師や看護師さえ死に逝く過程が説明できない人が増えていると感じています。これは我々大人がいのちの教育を怠ってきた結果であると思います。次世代への責任として在宅看取りや自然死を普及させ、看取りの現場に子供たちが参加し、いのちというものを学んでいく機会を作っていかなければならないと考えています。実際に在宅看取りを経験されたご遺族からは、「こんなに穏やかに自宅で過ごせるとは思っていなかった。」「死が怖いものではなくなった。」などの感想をいただけることが多いです。本来、子供たちは9歳くらいで大人と同じレベルで死について理解できると言われています。しかし現代の子供たちは身近で死というものを実感する機会がありません。極端な例ではありますが、そのため中高生になって人を刺して初めていのちとか死を理解するという子も中にはいます。個人的な経験では在宅医としての最初の2年間は医師1人で24時間体制であったため、休日などは娘と遊んでいる最中に患者さんに呼び出されることも多くありました。そのため娘は3歳~5歳の間は何度も往診に同行しました。すると5歳の時には悲しそうな顔で「あのおじいちゃんもうあと1週間くらいで亡くなるね。」などと言うようになりました。小さな子供でも「いのちの教育」の機会があればきちんと死が理解できると改めて思いました。そういう貴重な自然死を学べるのは在宅の場であり、在宅看取りであると思っています。今後は各地の小中学校で『いのちの教育』を行っていきたいと思います。

いのちの授業

北星高校の教諭O様よりお手紙をいただきましたので、ご紹介します。

にぎやかな蝉の声が聞こえ始めた頃、先生には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。 昨日は、ご多忙の中ご講演を賜わり心よりお礼申し上げます。 終末期医療とは、死を迎えるとは、どう生きるのかなど、エピソードを交えてとてもわかりやすくお話いただき、生徒はもちろんのこと先生方も含めて、とても充実した時間(授業)でした。
生徒の感想を一部紹介しますと、
 ① 死はこわいものだと思っていたけれど、イメージが変わった。
 ② 家族が笑顔になれる死に方もあると知ることができた。
 ③ 祖父が亡くなる前、息が苦しそうだったが、それは苦しいわけではないとわかった。
 ④ 大好きな祖母を家で看取りたい。
 ⑤ まわりの人に囲まれて笑顔で死を迎えるように生きたい。
また、普段感想を書かない(書けない)生徒が、「いい授業やった」と一言書いていたので、教員一同驚きました。
まだまだ多くの感想がありますので、後日まとめて送付させていただきます。
本当にありがとうございました。 暑さ厳しい折から、お忙しいとは存じますが、お体を大切にされますようご自愛下さい。 取り急ぎ、御礼まで申し上げます。
げんきプラス特別号

    

『いのちの授業』の第2回目を四日市市立塩浜中学校でさせていただきました。今回は卒業前の3年生にむけての授業でしたが、初回に比べ、私も生徒に話すのが慣れてきたということもあり、合格点がつけられる授業ができたのではないかと自己評価しています。
授業の中で、生徒たちにいくつか質問をするのですが、実際にアンケート結果にもあるような昭和の時代にはなかったような中学生の本音の「悩み」も聞くことができました。
今回の授業をきっかけに、卒業後新しい環境になっても一日一日を悔いなく一生懸命に生きていってくれるのではないかと思います。彼らの新しい門出、未来にエールを送りつつ、このような機会がいただけたことに感謝申し上げます。

    

記念すべき『いのちの授業』の第1弾を四日市市立常磐中学校でさせていただきました。
今回が第1弾ということもあり、正直私としては満足のいく出来ではなかったのですが、いっしょに聴いてくださっていたPTA役員の方、父兄の方はもとより、男子生徒も涙を浮かべている姿があちらこちらで見られました。今回の授業が、「いのち」に向き合い、「いのち」の大切さや尊さについて考える機会となったのならば大変うれしく思います。
今後、小中学校での『いのちの授業』を私の残りの人生のライフワークとしたいと思っています。
次回は四日市市立塩浜中学校にお邪魔させていただきます。